前回、布を断つ方向についてお話したので、今回は「柄合わせ」について。
買う側にはこちらの方が服を選ぶポイントになると思います。
柄合わせはしなくても服を作ることができます。していない服もいっぱい店頭に並んでいます。
でも、知っている人が見ると「こんな所も柄合わせしていない服、用尺をケチってるな。細部もそれなりの作りなんだろう」ということに。
大事なところは柄が合っているか、見た方が良いと思います。
今回作ったスカートで説明します。
【全体のバランスと柄をあわせる】
このプリントは棒が重なっている所が横のラインになって目をひきます。
この部分が2本入るか3本入るかで印象が違ってきます。
私は一番裾の長いところがぎりぎり重なりにかからないところに型紙を置きました。
このバランスがスカートを縦長にスマートに見せてくれると思ったのです。
そして、生地の断ち端からロスが一番少ない場所でもありました。
【パーツとパーツの柄を合わせる】
このプリントはラフな柄で厳密なストライプとは違います。
なので、「棒が重なった横のラインの高さを前後で合わせる」だけにしました。
前が棒2段なのに後ろが3段、ということは避けたいですね。
しっかり柄を合わせているものをご紹介します。
手提げのバッグを作りました。肩掛けベルトを付けるダブをはさみ込むのに切り替え線を入れていますが、柄が続いて見えるようにしています。
(下の写真、黒いラインが切り替え線)
太目のストライプ、大きめのチャック柄等は注意です。
柄によって、デザインによって、合わせなけれなならないものがあります。
【レアケース:ポイントになるものがポツンポツンと飛んでいる柄】
最初の「全体のバランスと柄を合わせる」に近いですが、私が経験した具体例として。
全体はジャングルのような緑の葉っぱだらけのプリントなんですが、ところどころに赤い鳥がいるプリントで作ったシャツ。
最初、何も考えずに縫製工場さんに作ってもらっていたところ、販売店舗さんから「鳥を胸辺りにしてもらわないと、お客さんが選んで買うから鳥の場所が悪い物は残ってしまう」と。
は~、なるほど。
「ポイントになる物がある柄は、最初にそのポイントをどこにするか決めて断ちましょう」
ちなみに、その後、追加分、縫製工場さんに鳥の位置を胸辺りに指定して裁断をお願いしたところ、「そんな効率の悪い事を・・・」と苦情を受けました。量産するのですから、ごもっともな話です。「作ったものが残るよりは、出来上がりの枚数が減っても良いから売れる物を。手間がかかりますよね。申し訳ありません💦」と拝んで作って頂きました。
手持ちの洋服を見てみると「ああ、ちゃんとしている」と思ったり、「あら~」と思ったりするかもしれませんね。
服を選ぶ時にも参考にもなる話だと思います。